ほっこりホラー日和

怖がり人間の日記。本や漫画のネタバレ感想が多めかもしれない。

今際の国のアリス げぇむ感想③(はあとのに、はあとのなな)

怒涛の展開の3巻に乗っている「はあとのに」「はあとのなな」のげぇむ感想です。

ネタバレがっつりしているので注意!

 

 

 

はあとのに

シブキが今際の国に来て初めて参加したゲーム。
舞台は5両編成の電車。
ぷれいやぁはシブキ含め3名だが、げぇむに参加するのは1人ずつ。
(一つの電車につき乗車できる人数は1人)

「るうる」は下記の通り。

  • 制限時間はなし。
  • スタート地点から4両先の先頭車両までドアを開けて進めば、最寄り駅に停車し「げぇむくりあ」
  • ただしスタート地点を除く4つの車両のどれかに致死性の猛毒ガスが充満している。
  • (ドアを開けてガスを吸い込めばぷれいやぁの死=げぇむおおばぁ)
  • 手元には自給式呼吸器と3本の酸素ボンベが用意されている。酸素ボンベを自給式呼吸器にセットすると5分間だけ新鮮な酸素を摂取することが出来る。
  • ボンベの酸素は一度セットすると最後まで使い切るしかない。
  • ドアを開けてから次の車両へのドアは5分間ロックされる。ガスが充満している車両の場合、5分が過ぎるとガスが車両外に排出される。


4つの車両のどこかに毒ガスが充満していて、手元にあるのは使い捨ての酸素ボンベ3つ。
当然、どこかで酸素ボンベを使わずに車両移動を行わなければならない。
つまり「毒ガス車両に酸素ボンベをつけて入る」か「通常車両に何もつけずに入る」ことが出来ればくりあ確実なんですよ、このげぇむ。
しかしどこの車両が毒ガス車両が分からない状態では、酸素ボンベの温存のために後者の行動をどこかで行う必要があるという。

スタート地点から移動して1両目では毒ガス車両ではない確率は4分の3。
1両目が毒ガス車両ではない場合、2両目が毒ガス車両ではない確率は3分の2。
2両目が毒ガス車両ではない場合、3両目が毒ガス車両ではない確率は2分の1…とだんだんと確率は下がってくる。
こう考えると序盤で酸素ボンベを使わずに車両移動しておくのが一番精神的に楽だと思うんですが、目の前が毒ガスかもしれないのに
生身でなかなか入れないよなぁ…。

仕組みとしてはシンプルで自分一人で参加するため心理戦も必要としないげぇむだけど、このげぇむの怖さは「詰んだ」時だと思う。

シブキ以外の参加者が陥った状態「手元に酸素ボンベがない状態で、毒ガス車両確定の4両目に行くしかない状態」。
しかもげぇむに制限時間はないから、ぷれいやぁに残された選択肢は3つ。
1.4両目に移動して毒ガスで死ぬ。
2.このまま3両目に居続けて餓死。
3.このまま3両目に居続けてビザ切れで頭をレーザーで打ち抜かれて死ぬ。
 ※この選択肢については後続の巻で「げぇむ中はビザの期限切れはない」と言われていたので実際は2になるでしょう)
うん、どれも絶望的ですね。
自分だったらどうするだろう…

シブキはげぇむの恐怖から逃れるために自殺するつもりで3両目に手ぶらで移動したわけですが、皮肉にもこの決断がこのげぇむ攻略の鍵だったんですね。

毒ガス車両であってくれ!!と願って酸素ボンベつけて移動したのに、車両に置いてある「花」がピンピンに生きているのを見たときとか、
その後無駄に酸素ボンベが消費されるのを待っているときとか、すごい心臓バクバクするだろうな、と思いながら読んでた。

 

 

 

 

 

はあとのなな
「かくれんぼ」

アリス、カルベ、チョータ、シブキが参加するげぇむ。
舞台は植物園。

「るぅる」は下記の通り。

  • ぷれいやぁは目元のセンサーとインカムが付いた首輪を装着する。会場前には斧などの武器が置いてあり、使用は自由。
  • ぷれいやぁのうちの1人が「おおかみ」となり、残りのぷれいやぁは「ひつじ」となる。
  • 「ひつじ」は「おおかみ」に見つからないように隠れる。
  • 「おおかみ」が「ひつじ」を肉眼で確認するとセンサーが反応して、見つけられた「ひつじ」が「おおかみ」になる。
  • 「おおかみ」が交代すると「みっつ」数えられるのでその間に「ひつじ」は新しい「おおかみ」に見つからないよう再び隠れる。
  • 制限時間の10分が過ぎた時点で「おおかみ」だったぷれいやぁが「げぇむくりあ」
  • 「ひつじ」だったぷれいやぁは首輪が爆発して「げぇむおおばぁ」


生き残るのは「ひつじ」ではなく「おおかみ」っていうのがポイント。
「ひつじ」が生き残りたいのなら「おおかみ」に見つけてもらうしかなく、
「おおかみ」が生き残るためには「ひつじ」を見ずにずっとどこかに身をひそめるしかない。

これぞはあと!といったげぇむですね。絶望感や終わった後の後味の悪さがすごい。

この4人の場合は、はじめは自分が生き残ろうとするために「おおかみ」になったぷれいやぁは「ひつじ」から逃げ、「ひつじ」は「おおかみ」に見てもらうため群がるといったことをしていました。
げぇむ開始前は全員で生き残ろうと鼓舞していたにも関わらず。
「おおかみ」になったアリスは仲間たちが自分を罵倒する声をインカムで聞きながら、げぇむ終了まで身を隠すことで生き残ろうと決意します。
ただ、自分だけ生き残っていいのか?息苦しい日常を友人たちがどれだけ救ってくれていたのか?と思い返し、涙します。
そこでアリスはげぇむを辞退することを決め、自分はげぇむ開始地点で待っているから生き残りたい人は来てくれと「おおかみ」を譲ることを宣言します。
しかし、カルベやチョータも同じようにげぇむを辞退し、アリスを生き残らせることを選びます。
シブキも初めは自分だけ生き残ろうとするけど、この3人の命を背負うことは出来ないと辞退してしまいます。
自分だけ生き残ることに罪悪感を感じるアリスは必死に他の3人を探しますが、見つけることはできずにアリスが「げぇむくりあ」します。

仲間を見捨ててでもみんな自分だけ生き残ろうとする前半の流れから、チョータに始まりそれぞれが生き残りを譲り合う後半の流れは秀逸ですね。
「おおかみ」と「ひつじ」の意味が逆転しているようなるぅる、一度隠れてしまえば見つからないような植物園が舞台なこと、インカムで互いに会話が出来ること、という条件がそろっているからこそ生まれる絶望感。
チョータ、カルベの語りは泣ける。
最後にそれぞれの決意を語れたのは良かったんだけど、結局対面することは出来なかったのも切ない。


今際の国の恐ろしさを改めて思い起こさせるようなげぇむでした。
しかし景品として「ラム肉」が用意されているけど、これも最高に煽ってるな。