「怖い絵」(中野京子)心に残った怖い絵感想
中野京子さんの「怖い絵」の文庫本を読みました。
(上野でやってた企画展、行けなかったなぁ・・・)
絵として怖いもの、バックストーリーを知ると怖いものと怖さのバリエーションは様々でした。
中野さんの語りが面白くてどんどん読んじゃいました。
お恥ずかしながら知識不足で知らない絵も多かったのですが、それでも十分楽しめました。
ネットで見たことある絵だけど詳細は知らない、といった絵もこの本を読むことで深く知ることができました。
以下、特に印象に残った絵の感想を書いていきます~。
「いかさま師」
世間知らずの坊ちゃんが悪党たちに騙されるという絵。
確かにこの絵の坊ちゃん、愚鈍っぽいです…。
若者をだますいかさま師達の目線がしぐさが漫画的ではあるんだけど、なんだか他人事じゃなくて怖いです。
自分以外はみんなグルっていう状況は嫌ですね。
「エトワール、または舞台の踊り子」
その当時のバレエ事情を知ると怖い。
ドガがその現状を批判や風刺する目的で書いたのではなく、踊り子に偏見を持って描いたというのが最大のポイントですね。
(踊り子の顔を醜く描いて、彼女らの階級が下であることを示したってのが悪意の塊って感じ)
ティントレット
「受胎告知」
マリアの気持ちを想像…確かにー!!
解説で天使のことをぼろくそに書いているのが痛快。
確かにマリアからしたらたまったもんじゃないわな。胸糞。
解説を読んだ後だとこの絵の天使たちが気味悪い大量の害虫に見えますね。笑
ダヴィッド
「マリー・アントワネット最後の肖像」
最後の2文が突き刺さる…。
試合に勝って勝負に負けた、的な?
これは現代でも注意すべきですね。ネットでずっと残るから…。
ブロンツィーノ
「愛の寓意」
近親相●かぁ。
色使いは明るくかわいらしい感じなのに。
可愛さとエロさと気味悪さの調和。
「見捨てられた街」
絵として怖いですね。美しいけど。
静かで怖くて何か切ない。
ホガース
「グラハム家の子どもたち」
本当に死んでしまうなんて。
「我が子を喰らうサトゥルヌス」
絵として大迫力!かつその当時のゴヤの精神状態!
畜生道に落ち我が子を喰らう、って表現が怖いです。
我が子食べるなんて並みの精神じゃできないもの、それに至った恐怖と圧迫よ…。
ルドン
「キュクロプス」
決してかなわない、彼女には自分は釣り合っていないとは知りながらも彼女への恋心に集中し、彼女からの無関心・拒絶に怒り狂って我を忘れる…。
暴走するポリュペモスも怖いけど、そう生きざるを得ないのは切ない。
コレッジョ
「ガニュメデスの誘拐」
これは…最後の1文が怖いです。
少年少女の疑似大人化と鑑賞・消費。
「イーゼンハイムの祭壇画」
絵に救いを求める人々の描写がすごい。引き込まれる。
以上です。
他の怖い絵シリーズの本も読みたいですね!